原子力発電所の当番制度と焼酎談義
Subject: [qsob 218] 原子力発電所の当番制度と焼酎談義
Date: Sat, 13 Dec 2003 10:57:42 +0900
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お疲れさまです。六代目の福田です。
今日は、原子力発電所の当番制度を紹介したいと思います。
面白くない話題かもしれません。興味のある方はご一読ください。
先ず、原子力発電所における自分の仕事の一部を紹介します。
大きく分けて以下の2つに分類されます。
○ 原子燃料関係業務:
・原子力発電所の燃料受入れ、搬出や定期検査中の燃料の入替・検査、
運転中の燃料の燃焼状態(火がついて燃えている訳ではありません)
の管理、など
○ 技術的な事項の総括業務:
・対外的な報告、申請のとりまとめ、窓口業務
(例えば定期検査の申請・スケジュール管理、お役人さん対応など)
・何かあったとき等における通報連絡、など
このうち、何かあったとき等の所外への情報発信源は、基本的に全て私から
になります。勿論、外に連絡するときは、国は自分、自治体やプレスは他の人
というように、分担はしています。
それじゃあ私は常に拘束されているやないか、ということになりますが、それを
緩和する手段として、休日・時間外には当番者を決めて、その人から情報を
発信してもらうことにしています。
当番者は発電所にずっと居る必要はないのですが、そうでない場合も基本的
には自宅に待機しておき国への定時連絡を行うのと、何かあった場合には発電所
を運転している人から情報をもらい、外に連絡する必要があると判断した場合
には関係先に連絡することになります。
これを当番制度(正式には当社では輪番制度と呼んでいます)と言います。
言わば私の代わりを皆で分担してくれている訳です。
ただこの当番者も250人居る所員全員で行う訳にはいかず、組合員でない
(=無報酬で働ける)1割弱の人間(技術系・事務系)をグループ分けし、
何人かずつで交代に回しています。
これは年末・年始やゴールデンウイークも同じです。例えば年末年始の場合、
技術系は当番者を3グループに分けて、前半・中盤・後半という具合に分担を
決めています。中盤に当たった年は悲惨です。当番者の殆どが単身赴任なので、
誰もいない寮で一人寂しく正月を迎えることになります。
人にお願いしているとは言え、やはり発電所のことは気になりますので自ずと
川内に居ることが多くなります。川内に居るのであれば何も予定がないときは
なるだけ昼間は発電所に、ということになります。また、台風の場合は発電所に
泊まる、定期検査の場合は1ヶ月くらい連続で土日も毎日会社に出るという
生活になります。
川内に来て4年目、今の仕事で3年目になりますが、いまだ有給休暇は1日も
取っていません。社内には夏場やその他連続で数日休める制度もありますが、
それは無縁です。
そういう訳で、ある意味では会社に拘束されながらも一人自由な時間も多く、
他の人と比べれば焼酎談義などのメールを書く時間もあるわけです。
今週末は当番で川内に居ますので、明日また焼酎談義で杜氏の話でも書きたいと
思います。
最後に誤解がないように付け加えておきますが、発電所全ての人がこういう生活
をしている訳ではないのと、トラブルだ何だと色々な報道がされますが、発電所
は一般の人が思われるより非常に安全です。
原子力発電所の場合、気分が悪くなって発電所に救急車を呼んだだけで速やかに
連絡しないと怒られます。情報連絡の類は殆どがそんなものだと考えて頂いて
良いかと思います。
少々長くなりました。
福田 剛